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朝鮮戦争から現代まで一人の男が家族のためだけに生き抜いた軌跡を描いた韓国映画「国際市場で逢いましょう」(ユン・ジェギュン監督)。「鳴梁」に続き、韓国で歴代動員数2位を記録するほど大ヒットとなり、このたび、日本でも公開されるに至った。


時は1950年、朝鮮戦争も韓国にとって劣勢となり、北の援軍である中国軍が攻め入る興南(フンナム)から家族共々、命からがら逃げてきた主人公。しかし混乱の最中、妹と父と離ればなれになり、その日から、まだ子供であった主人公の運命は大きく変わることとなる。父との約束“家族の家長になれ”という重責を背負い、母、幼い妹や弟たちのために生きる日々が始まるのだった。


大挙して押し寄せる人、大海原を進む戦艦、空を駆け巡る戦闘機。いつも思うのだが、ハリウッドに引けを取らない迫力あるシーンには韓国映画の真骨頂を感じさせられる。
この映画が韓国人に受け入れられる最たる要因は、朝鮮戦争、ベトナム戦争、離散家族再会……映画を通し散りばめられた時代設定ではないだろうか。50年代~現代まで韓国人が経験してきた時代背景にピッタリと合い、共感を得たのが一番の大ヒットの要因だと考える。


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そして何といっても50年代に一世を風靡した実物の歌手であり、ベトナム戦争に参戦したナム・ジン役を東方神起のユンホが演じているのは見逃せない。全羅道(チョルラド:韓国西南部)弁を話しているユンホは新鮮で、それだけでも十分見る価値がある。


一方、ストーリーはありきたりで、うまくいきすぎな部分は否めない。しかし、そこは「ユア・マイ・サンシャイン」のファン・ジョンミンや「シュリ」のキム・ユンジン、「オールド・ボーイ」のオ・ダルスなど錚々たる俳優たちの演技力でカバーされている。青年時代から老年時代まで、一人の役者がすべての時代を違和感なく演じることができる演技力には脱帽だ。


『国際市場で逢いましょう』の出演陣。


最後にタイトル「国際市場で逢いましょう」が示す意味が明かされるのだが、これが少々残念な結果に。中盤あたりからクライマックスが予想できてしまうので、もう少し丁寧に描くことができれば、単なる抒情的な映画で終わるのではなく、エンターテイメント性も高くなり歴代動員数1位の「鳴梁」を超えられたのではないだろうか。


総合的に鑑みると、「国際市場で逢いましょう」は十分見ごたえがある韓国映画だと思う。切なく、感傷的な演出が映画を支配するが、随所に施されたウィットによって、感傷的になりすぎず、見事な調和を作り出しているからだ。そのため、日本人には理解しがたい韓国史が根底にあるが、それを凌駕し、引き込まれる映画となっている。人間の感性を通し紡ぎだされるストーリーに国境は関係なく、日本人でも涙なしには見られない感動のヒューマンドラマ「国際市場で逢いましょう」。ぜひ、一度、映画館に足を運んでもらいたい。

 

■映画の詳細は

公式サイト:www.kokusaiichiba.jp

公式ツイッター @kokusai_ichiba


THE FACT JAPAN|中西

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