ソウル・小公洞にあるロッテホテル|THE FACT DB

 

ロッテ財閥で勃発した兄弟によるお家騒動。韓国ロッテを取り仕切る弟と日本ロッテを取り仕切るアイキ+オヤジの仁義なき戦い。ここで少しおさらいをしておこう。ロッテとは在日コリアンである重光武雄氏が約50年前に日本で起業。グリーンガムやキシリトール、雪見だいふくなど、ヒット商品を上げればきりがない。


昭和40年代には韓国にも展開し、単なるお菓子メーカーだけにとどまらず、ホテルやデパート、アミューズメント施設、建設業など多角的経営で、平成25年時点で売上高は日本の約10倍にも上った。韓国を取り仕切る弟の昭夫氏の手腕が発揮された形である。
 今年1月に長男・宏之氏が臨時の株主総会で解任され、経営権を奪われたのがコトの発端。後継者は弟・昭夫氏で決まりか、と思われたが、ここでドラマが始まるのがやはり韓国。いつの間にか、父・武雄氏と手を組んだ長男・宏之氏が「重雄会長以外の取締役を全員解任する!」と宣言したのだ。


戦後、財閥が解体された日本と違い、韓国ではロッテ以外にも現代やサムスンなど、財閥が韓国経済界を動かしている。財閥は韓国国民にとって、身近な存在なのだ。だからこそ、財閥一族をテーマとしたドラマも多く描かれている。


昨今で話題に上がったのは、その名もロッテ騒動を彷彿させるタイトル「相続者たち」。イ・ミンホ主演で、他にもパク・シネ、キム・ウビンなど錚々たるメンバーが名を連ねる。イ・ミンホが財閥の御曹司という設定だ。ほかにも、財閥御曹司役を演じた俳優をあげればきりがない。「1%の奇跡」のカン・ドンウォン」、「パリの恋人」のパク・シニャン、「マイ・プリンセス」のソン・スンホン、「私の名前はキム・サムスン」のヒョンビン、「清潭洞アリス」のパク・シフなどなど、実に多いのである。そして、ストーリーもお決まりで、金持ちボーイと貧乏ガールが恋に落ちるザ・シンデレラストーリー。お金にしか目がなかった不誠実な御曹司が、貧乏だけれども、心優しい女性にであい、恋愛に落ち、人間らしく成長。同時に紆余曲折を経て会社も立て直すことができるという、韓国の定番中の定番のストーリー構成。ま、韓国は一辺倒なストーリーに対する味付けがうまくて、面白いんだけれど。


実際にこのようなコリアン・ドリームが起きるのだろうか。韓国人に聞いてみると、「ヨン様でさえ、財閥令嬢との結婚はできなかったのに、一般の人がまず、財閥御曹司と出会うことはありません」と、首を大きく横に振る。ま、そりゃそうだわな。


ありきたりの財閥ラブドラマはもうお腹いっぱいなので、今回のロッテお家騒動をテーマに、社会派の財閥ドラマを見てみたいものである。


THE FACT JAPAN|中西美穂
:大学卒業後、韓国の高麗大学付属語学堂へ留学し、韓国の魅力にはまる。「週刊女性」、「週刊文春」の記者を経てフリーライターに。著書「プチ韓国新大久保完全ブック」

 

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