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チャン・グンソク復帰作として注目が集まっているドラマ『テバク』。韓国では3月28日より月火ドラマとしてスタートし、日本でもKNTVで5月15日より日本初放送が決定しており、グンソクファンはうずうずしていることだろう。


チャン・グンソクは、ムスリ(下女)出身で粛宗の側室となった淑嬪崔氏から生まれるが、命を狙われ捨てられ、賭博師の父に育てられ、やがて朝鮮一の詐欺師へと成長するというテギル役。やがて父が無残な死を遂げ、自身の出自を知ると、復讐のため、王子として育った英祖(ヨ・ジング)と国を賭けた世紀の賭けに挑む…という物語だという。


粛宗、英祖は歴史上実在の王で、『トンイ』などほかのドラマでもおなじみの登場人物だが、テギルの存在はフィクション。このようなファクションと呼ばれる時代劇は、好みが分かれるといわれるが、韓国では好発進している。まだ1話・2話が放送されたところで、ネタバレはここでは避けるが脚本と演出に吸引力が見られる。


物語は、チャン・グンソク、そしてグンソクのライバル的役どころとなるもう一人の主役、ヨ・ジングが生まれる前から始まるが、このような導入部でまず視聴者の心をつかめればヒットが高確率で約束される。これら導入部で引きつけるのは子役の演技、ということも多いが、本作ではチョン・グァンリョル、チェ・ミンス、イ・ムンシクという演技派のベテラン陣の演技だ。重苦しく怪しく、背景や関係が描かれていくのだが、正統派時代劇の魅力に、賭博といった毛色の変わった味付けが個性を放ち、先を期待させる。


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脚本は『ペク・ドンス』のクォン・スンギュ。チョン・グァンリョルとチェ・ミンスは『ペク・ドンス』でも、敵対関係を形成する主人公2人のそれぞれの師匠的な立場でドラマに重厚感を与えたが、今回もいい立ち位置でさすがの演技をこれからも見せてくれそうだ。また、『ペク・ドンス』でタイトルロールを演じたチ・チャンウクに対するライバル役にちょうど子役からの脱皮を狙っていた若いユ・スンホがキャスティングされ、“俳優”としての評価を高めたが、今回のヨ・ジングもちょうどそんな感じだ。


チャン・グンソクファンに向けて言うなら、1話冒頭でチャン・グンソクは登場するが、次に登場するのは3話からだろうか。時代劇では子役の時代もけっこう長く、子役時代も高評価の材料になることが多いが、本作では、いきなり大人になるか、子役が登場してもごく短い時間とみられるので、グンソクファンはうれしいところだ。そして、同時にヨ・ジングも登場する。天才子役として人気・実力を誇ってきたヨ・ジングは、憂いを秘めた存在感のある役には定評があるが、子役出身の先輩との演技対決は、何より興味深い。


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チャン・グンソクは演技への探求心や集中力の高さは認められながらも、『美男<イケメン>ですね』があまりにもハマってしまったためそのイメージが今もって強い。今回は、久々の時代劇であり、荒々しく男らしいキャラクターということで、ビジュアル系ツンデレキャラを払拭するのにはいい機会といえる。そして、まだ若いにもかかわらず巧みな演技をするヨ・ジングとのケミストリーで、個性を際立たせることができれば、間違いなく俳優チャン・グンソクとして一段高いところに行けるだろう。


『テバク』は、賭博で国をも動かそう、という一見ありえなさすぎるストーリーのようだが、それを論理的に説得力あるように描き、史実にうまくからめていく。そして賭博の醍醐味であるスリルや緊張感でエンターテインメント性を高める。もちろん、愛や葛藤という心情を描く部分では、視聴者を胸キュンに。そうして、この作品が「チャン・グンソクのドラマは輸出用」と揶揄する声も払拭するタイトル通りの“テバク(大当たり)”作品となり、また記憶に残るいい作品に仕上がることを大いに期待したい。


THE FACT JAPAN|野﨑友子



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